岩永 哲


去年9月に起きた茨城・鬼怒川の堤防決壊。
家が次々と流されていくヘリからの中継映像は衝撃的でしたが、
河川の洪水被害のおそろしさを再認識する災害でした。



そして鬼怒川の災害と同じようなこちらの映像…。
1972年7月に三次市中心部で撮影されたモノです。
下の方に列車が見えているのが現在のJR三次駅周辺。
三次の街の中心部がほぼ水没しています。
県北部では記録的な大雨となり
江の川やその支流が各地で氾濫しました。


当時、三次で観測された雨量は6日間で622ミリを記録。
三次市中心部では、現在も街のあちこちに
1972年当時にどれだけの深さ浸水したかを示す
表示を見ることができます。

これまで国は、管理している河川(大きな河川)について
100~200年程度に一度の記録的な大雨が降った場合に
どのような洪水被害が起こるかについて
流域の浸水被害想定を公開していました。

ただ最近はこの想定を上回るような浸水被害が起こっています。
また、東日本大震災以降は災害の考える上で、
たとえ起こる確率が非常に低くても
起こり得る最大クラスを想定する方向に変わってきました。

このため去年7月、水防法が改定され、
その地域で可能性がある最大クラスの大雨が起きた際、
(=確率的には1000年に一度かそれ以下の頻度)
どんな浸水被害が起こり得るかについて見直し作業を進めています。

新たな浸水被害想定は、先月から順次公開されていますが、
広島県内では初めて江の川水系と小瀬川について
14日(火)に発表となりました。



今回、国が発表した江の川水系の新たな浸水被害想定では、
2日間で479ミリの大雨が流域に降った場合に
どこがどれだけ浸水するかを示しています。

三次市中心部はほとんどのエリアで水没するおそれがあるとされ、
濃いピンク色は浸水の深さが5メートル以上です。
浸水の最も深い所は10.9メートルに達するとされています。
こうなると2階も完全に水没してしまいます。



この2日間で479ミリという想定雨量は
以下のように仮定されています。

想定では全国を15地区に分けていますが、
(広島県は「中国西部」「瀬戸内」「山陰」に入る)
このうち江の川水系は「山陰」エリアとされます。

この同じ「山陰」エリア内にある兵庫県北部では、
1990年9月の台風19号で2日間479ミリの雨量を観測しました。
山陰エリアにおけるこれまでの最大観測値ですが、
もし江の川水家の流域でこの雨量降ったらどうなるかを示したものが
今回の新たな被害想定です。


去年9月の鬼怒川の洪水では、
堤防が決壊した付近で家屋が次々と押し流されました。

今回の発表では、
 ・氾濫した川の流れで家屋が押し流されたり河岸が浸食されたりして
  家屋倒壊の危険があるエリア
 ・どれくらいの時間にわたって浸水が続くのか(浸水継続時間)
について初めて公表されました。

これだけの浸水が深かったり家屋が倒壊する危険性が示されると
家の2階に逃げたとしても安全とはいえなくなります。
どこにどうやって逃げればいいのか、
これまでの洪水に対する考え方を見直す必要も出てきそうです。

ただ、河川の氾濫は土石流などの土砂災害と違って
数十分~数時間で起きる現象ではありません。
事前にこうした可能性を認識するとともに
油断せずに行動すれば命を落とさずに済むことはできるはずです。

今回発表された想定は、ある一つの地点で川が氾濫した場合、
どこが浸水するかシミュレーションした結果を
いろんな地点分を集めてトータルで示したものです。
一度にすべてが起こるというわけではありませんが、
どこで川の水があふれたり堤防が決壊するかはわかりません。

まずは自分自身で確認して知ることをおススメします。
(太田川や芦田川は今後発表される予定です)

国土交通省中国地方整備局の発表資料
江の川水系の想定(三次国道河川事務所)
小瀬川の想定(太田川河川事務所)



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