今日は、ボクのためのサービス担当者会議だった。
サービス担当者会議というのは、介護保険制度のもとで、本人を中心にケアマネジャー、ヘルパー、訪問看護師、リハビリ職など、日々の生活を支えてくれている専門職が集まり、現状の課題を共有し、これからの支援方針を話し合う場のことをいう。単なる報告会ではない。困っていることを率直に出し合い、「どうすれば少しでもよくなるか」を多職種で知恵を絞る作戦会議だ。書類のための会議ではなく、暮らしのための会議である。いまや我が家ではそのケアマネはなくてはならない存在となっているが、今回の問題定義も的確だった。



今日のテーマは、ボクの曲がってきた足についてと、サービスの情報共有。同じ方向をみんなで向く会議だ。
半身麻痺になって十四年。左足は、気づけば少しずつ、しかし確実に主張を強めてきた。
なぜか2年前からそんな気がする。マッサージの回数を増やしてもダメだった。
放っておけば固まる。固まれば、座る姿勢が崩れる。姿勢が崩れれば、取材にも行きづらくなる。ボクの仕事は、身体が資本だ。動けないなりに、動ける形を探すのが商売でもある。
いまのままの現状維持ではいけないのだ。

「悪くならないように」ではなく、「よくなるように」。
その空気が、今日ははっきりとあった。ヘルパーさんの事業所が三社。訪問看護。リハビリの視点。みなそれぞれの現場を背負って、ボクの足をどうするかを本気で考えてくれた。オムツの当て方ひとつとっても三者三様だ。角度、当てる順番、締め具合。ボクの肌荒れまで気にかけて、「このやり方のほうが擦れにくいのでは」「体位をこう変えたらどうか」と具体的な提案が飛び交う。水分のとらせ方もそうだ。どうしたら無理なく、でもしっかり飲ませられるか。ストローの種類、タイミング、声かけ。現場で積み重ねたノウハウが惜しみなく出てくる。

正直に言えば、ボクは会議の中心にいながら、どこか客観的に眺めていた。自分の足のことを、ボクのことをこれだけ多くの人が真剣に議論している光景は、なかなか壮観だ。ありがたい、という言葉では足りない。
妻のいま一番の関心事は、「気持ちよく車椅子に座れて、取材ができる身体をつくること」だという。ボクよりも野心的だ。座位が安定すれば、原稿は書ける。現場にも出られる。世界一周だって、夢物語ではなくなる。

新しい何かを始めるのもいいのかもしれない。装具の見直し。リハビリの強化。座位保持のクッション。選択肢はまだある。
半身麻痺になって十四年。
「ここまでか」と思ったことは一度や二度ではない。それでも、今日の会議は違った。まだ、やれることがある。まだ、諦めなくていい。
これは足の会議であり、ボクの未来の会議でもあった。進むための会議だ。