沖縄にこの夏オープンした「ジャングリア」アジア初の没入型リゾート“世界が注目するエンタメアイランド” という前評判に、正直、いち早く行って試してみたいと思っていた。けれど実際に行ってみると――そこは、高齢者や車椅子の人間をメインの客として想定していない場所と感じてしまった。そうかな?とはもちろん思ってはいたのだが。
そういう場所はいくらでもある。でも、“沖縄初の大型テーマパーク” と聞くと、どこか自分たちにも開かれている気がしてしまう。アップダウンのきつい坂を登るたび、背中に汗が流れた。暑さと坂のきつさで無理かもと即座に感じる。
それでも、すべてが不親切というわけではない。あの有名な“鳥の姿をしたテーブル” のあるレストランには、車椅子でも入りやすい場所に設置されていた。
園内を回るトレインには、車椅子ごと乗り込める車両もあり、スタッフがスロープを出してくれて、慎重に声をかけてくれた。
そして配慮がないわけではない。むしろ、できる範囲で一生懸命に対応してくれている。スタッフは心配になるくらい頑張っている。
それなのに、なぜか“置いてきぼり” のような気持ちになる瞬間があった。
設備の問題ではなく、“想定の中にいない” という感覚。誰かの物語の外側に、自分だけが座っているような。テーマパークという「みんなが楽しむ場所」で、ふと“みんな” からこぼれ落ちる。そんな瞬間が、確かにあった。
もうひとつ、気になったのが暑さだ。
真夏の沖縄に作られた場所なのに、日傘の無料貸し出しや冷房車の休憩所など、どこか“後付け” のような印象を受けた。工夫はあるけれど、最初から「どうすれば暑さも楽しさに変えられるか」という発想が欠けている気がした。暑さは年寄りや子どもにとって、立派なバリアになる。
それでも、最後に残ったのは人だった。
慣れない車椅子対応に戸惑いながらも、笑顔で手を貸してくれるスタッフ。
目が合えば「大丈夫ですか」と声をかけてくれる。汗だくになりながらも懸命に動く姿に、救われる思いがした。
ジャングリアは、まだ生まれたばかりの“ジャングル” だ。
完璧ではないけれど、そこに立ち止まる人がいるかぎり、変わっていく余地はある。
帰りがけ園内のアンケートを求められた。「ちなみにボクが使えるトイレはなかったよ」と「休憩できそうな場所がないからあったほうがよいね」を中心に話した。
もしかしたら、この不便さも“始まり” なのかもしれない。次に行く時を楽しみにしている。
RCCコラム