大阪万博。いやはや、またすごいところでやるもんだと思った。場所は夢洲(ゆめしま)
──名前はロマンチックだが、実態はゴリゴリの埋立地。バリアフリーにとって、どこよりも厳しい地形じゃないかと思っていた。ちょい後退りしてしまう。



会場に行ってみると、全く違う印象で感動してしまう。あの円形リングだって一周2025メートルを見渡すだけで対岸は遥か彼方。規模だけでも感動する。しっかり作られていた。まるで「さぁ、あなたもどうぞ」と言ってくれてるみたいに。円形リングの下は日陰の道にもなりこれから梅雨、夏には、なかったら大変だろーなとも感じた。色々批判もあるが大屋根リングがあってひとつになっている印象。



さて、今回は二つのゲートについて。
夢洲にあるのは、ふたつのゲート。「東ゲート」と「西ゲート」だ。これが、行き方も、風景も、受け取り方もまるで違う。まるで性格の違う双子の兄弟だ。

まず、東ゲート。これは、正面玄関といった感じ。大阪メトロ中央線・夢洲駅を出て、スロープをぬけたらすぐに到着する。完全にバリアフリー。段差なし、非接触ボタンのエレベーター、広々した導線。まるで「ようこそ未来へ」と案内されているような安心感がある。自家用車で来る人のためには、障がい者専用駐車場もある。予約制だが、東ゲートまで徒歩5分以内という距離感もうれしい。

対して、西ゲート。こちらはちょっと変わり種のアクセスルートが用意されている。
バス、タクシー、そして船。まるで交通博物館のようだ。桜島駅やなんば・天王寺・新大阪などから直通シャトルバスが走る。しかも、障がい者と介助者は無料。夢洲第1交通ターミナルを起点に、そこから徒歩180メートルほどでゲートに着く。

なにがいいって、西ゲートには混雑が少ない。船や福祉タクシーでダイレクトに来られるぶん、人の流れが分散されている。旅慣れた人ならこちらのルートのほうがスムーズに感じるかもしれない。

ただし、注意点もある。東と西、ゲート間の移動はできない。チケット購入時に「どちらのゲートから入場するか」を決めなくちゃいけない。つまり、行き方を選ぶということ
は、自分の万博体験の導線を選ぶということでもある。

で、どっちがいいのか?──これはね、「どんなふうに未来へ歩いていきたいか」で決めるといい。

東ゲートは“計算された整備とアクセス”、西ゲートは“自由な選択肢と冒険”。どちらも今の日本が目指す「多様性」ってやつを、実に見事に体現している。



なによりも、車椅子のボクたちが選べる方法がたくさんあることがよい。
この“選べる”ってのが、ずっとボクらが欲しかったことなんだ。かつては、行けるか行けないかの二択しかなかった。今は、どっちから行く?どれで行く?と、選ばせてくれる社会になりつつある。

東から行ってもいい。西から入ってもいい。夢洲という場所は、ちゃんとこっちのことを考えてくれていた。それだけで、行ってみる価値があるじゃないかな。


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