つい先日、SNSをぼんやり眺めていたら、北海道に住んでいる知人の投稿が目に留まった。その人は、自然の中で観光客の案内や、地域のコーディネートをしている人で、とにかくよく山に入る。こっちは都内のビルの中、信号待ちで通知をチラ見してるだけだけど、彼は冬でも夏でも山の中。圏外が日常、そんな生活をしている。

で、その投稿には、こう書かれていた。
「これ、本当に届いてる?」
その下に、スマホのスクリーンショットがあって、誰かからの返信が表示されていた。
「届いてるよ!」
山の中って圏外じゃなかったの? Wi-Fi もない、もちろん基地局なんて立ってない。音信不通になるのが当たり前だった。
あ!もしかしたらそれ、auの「衛星通信」?

auから発表があった日、空に携帯をかざしてみたりした。もちろん電波が通じているんだから何も起きない。
2025年からauが始めた新しいサービスで、スマホを直接空に浮かんでる衛星とつなぐらしい。正確には「Starlink Direct」っていう名前で、アメリカのスペースX(あのロケット飛ばしてる会社)が提供する衛星を使ってるんだとか。

で、びっくりするのが、特別なアンテナもアプリもいらないってこと。iPhone14以降とか、対応してるスマホならそのまま使える。彼もたぶん、ポケットからスマホを出して、空が開けてるところで送ったんだろう。すると、衛星を通じて地上のどこかにいる友達のスマホに届いた。

iPhoneも、実は別の衛星通信サービスを始めていたらしい。名前は「衛星経由の緊急SOS」。こっちは山で道に迷ったり、事故に遭ったときに圏外でも衛星経由で助けを呼べるというもの。iPhone14以降なら対応していて、画面に出る案内に従ってスマホを空に向けるだけでいいそうだ。

今はまだ、「緊急時に使う特別な通信」という印象が強い。でもその使い方が広がっていけば、いずれ「いつでも誰とでも宇宙経由でつながる」のが当たり前になるのかもしれない。
どちらも、今のところ無料。なんだか。いつのまにかスマホがすごいことになっていたんだな、と気づかされる。

考えてみれば、これまで「圏外」って当たり前だった。登山に行った友達からの連絡が何日も来ないと、「無事かな」と気にするしかなかった。でも今は少なくとも短いメッセージなら送れる。しかも宇宙経由で。何それ、ちょっとした未来じゃない?衛星通信ってもっと特別な人たちが使うものだと思っていた。南極調査とか、船の上とか、そういう世界。でもいまや、それが私たちの手元のスマホに入ってきてる。空を見上げて、「届いてる?」ってメッセージを送る。こんな普通のことが、空の彼方から返ってくるようになったなんて。
通信って、見えないし、触れない。でも、ちゃんと人をつなぐものなんだな、すごい時代だと素直に感じる。