「パキスタンの山旅を愉しむ」という本が雷鳥社から出版された。

著者は、柳谷杞一郎。編集者であり写真家の彼は広島出身。
修道中学・高校を卒業した彼は、慶應大学に進学する。予備校時代から彼が作った「ねこの森」というミニコミ誌は慶應大学時代に東大や、その他いろいろな学生と共に作ったミニコミ誌として一世を風靡した。
学生の頃から表参道の一等地に事務所を構え社長になった。大学生で起業した彼は大学在学中に年収何億の会社に成長させた。しかし、もっと高みを目指してバッサリ会社を辞めた。世界一周してきたと思えば、写真スタジオを作って経営したり、写真の学校や声優の学校を作ったり、しかもそれが成功するところが彼のすごいところだ。

65ぐらいになった時「僕、もう社長はやめる」そう言い始めた。「ああ、またか」また新しく何か始めるんだろうか?そう思っていたら「いや、隠居するんだよ」「まさかあ」君がじっとしていられるわけないじゃないか、そう思っていた。

「尾瀬に行ったらすごく気持ちが良かったんだよね」そんな話を聞いた。それから割とすぐ、エベレスト街道トレッキングに出かけた。5000メートル級の山々に挑戦する。登山初心者のはずの彼が山登りの憧れの地のエベレスト街道に行っちゃうなんてなんと彼らしい。でもね、一つ付け加えておくと日本の山々を練習のためかなり登っていた。そりゃそうだよね、並大抵の努力じゃないとは思う。帰ってきた彼は「もうだめだ」そんなことを言っていたと思うけど、今度はパキスタンの山々に行ったそうだ。65歳から始めた山登りもここまでくると褒めてあげたくなる。編集者だった彼はちゃんと締めに本を出すんだけど、この本の彼の旅の話が面白い。それに写真家を名乗っている彼の景色の写真は心惹かれる。そこに行きたいと思う。山など登れないけど、行ってみたいなあと思う本に出来上がっている。是非手に取ってみてほしい。

「パキスタンの山旅を愉しむ」
著:柳谷杞一郎
出版社:雷鳥社
価格:1,760円(本体1,600円+税)
刊行日:2024年12月06日
仕様:四六変形/ 並製/256p
https://www.raichosha.co.jp/book/1483