インターネット上でちょっと炎上になっていた話。
ある車椅子生活者の「映画館の対応」にまつわる投稿が議論になった。
車椅子利用者のインフルエンサーである彼女が、「久々に悔しい気持ちになった」と投稿した。
もう数回同じような対応をしてもらっていた映画館である。数段の段差のある席まで車椅子ごとあげてもらいシートに移り映画を見ていたんだという。それがその時の映画が終わ
ったあと、支配人みたいな人が来て、『この劇場はご覧の通り段差があってあぶなくて、手伝い出来るスタッフもそこまで時間があるわけではないので、今後はこの劇場以外で見てもらえるとお互いいい気分でいられると思うのですがいいでしょうか。』って言われてすごい悲しかった」そう投稿したのだ。その投稿はすごい勢いで拡散されて運営側が「不適切な対応だった」と謝罪文を出した。ボクも映画は好きだ。だからどうしても映画館で見たいものは映画館に観にいく。
最近の映画館は一番下の方に出入り口があって上の方に階段で座席が広がっているのがほとんどだ。車椅子で行くと一番前の座席のその前に横の隅に車椅子用のスペースがあることがほとんどだ。まあ、見るのは…はっきり言って「そんな席、満席でもない限り選ばないよね、その席だったら次の回に変更するかも」そんな席だ。車椅子ではのけぞったり斜めに体をずらして見る事もできないけど、思わずのけぞるような席だ。でも大体その席で見ることになる。
段の上の方にはスペースもあるちょっと価格のお高い席も見えるけどあそこなら体が不自由なボクでも座れるかな?」そんな席も確認済みではある。席と席の間にスペースがあるので座れそうだと思っていた。多分Nさんもそこに座ったんじゃないだろうか?
けれど、ぼくはまだまだ車椅子新参者なので「あそこに運んでください」そんなことを言えるなんて夢にも思っていなかった。Nさんみたいに切り開く人がいて、健常者では考えも及ばない困りごとが改善されていく。LCCのタラップを腕力であがって乗ったという事件があり、今までLCCに乗れない車椅子の人たちの声はその方が批判を浴びながらも改善されていった。今は、LCC用にもエレベーター式の車が用意されていたりする。
映画館の話に戻ると、ボクも車椅子で映画館の方にお世話になったことが2回ある。
一回は、古いタイプの映画館でビルの地下にあった。古い古い映画館で下に行くエレベーターがないことがいって初めてわかった。知り合いの作った映画の舞台挨拶の日だった。
よく見ると階段の横に車椅子マークが貼ってあって「御用の方はブザーを押してください」と書いてある。
押してみると係の人が下から覗いてくれて「ちょっと待っててください」と4人の男性がやってきて車椅子ごと降ろしてくれた。数段どころではない。20段とか結構な段だ。皆さんふーふーいっている。慣れている感じはしたが「申し訳ない」そう思う光景だ。「ありがとうございます」
あともう一回は都心の映画館だった。車椅子用のチケットを購入するので窓口に行った
ら、
「ちょっと裏を通っていただくんですが、一番上のちょっと斜めになってる席ならありますがそこの方が、見えやすいと思います、介助者と隣り合わせではありませんが」とおっしゃってくれてその席に案内してくれた。いつものように下から出入り口のある劇場であったが係員の人が通る裏の通路を通って上の階にエレベーターで上がり劇場の一番上の横にある扉を開いてくれた。
ちょうど車椅子が2台ぐらいちょっと座席に向いてスペースがある。そこに車椅子で見られるのだ。のけぞらなくても見られるぞ。介助者は一番後ろの横の席に。ありがたかった。こんな席がどこにでもあればいいのに。
「ん?!」そういえば思い出した。まだ元気な頃、子供とハリーポッターを見に行った。後ろから2番目の席だったが一番後ろの席が5席ぐらい空いている。満席なのになあと思っていると暗くなってからVIPが後ろのドアから入ってきた。でボクが車椅子で座ったスペースにSPらしき人が座っていたなあ、あの席か!色々な使い道がある席なんだなあと思ったことを思い出した。
そんなふうに色々考えてはくれているんだけど、やっぱり隔たりはある。大抵一番前の辛い席しかないから。映画という娯楽を見に行ってるのだから、どちらも気持ちよく過ごせるのがいい。当たり前のことをしたいだけである。車椅子の人もマナーはもちろん考えないとなんだと思うけど。
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