9月18日、茨城県近代美術館に行ってきた。
「どっちがどっち?いわいとしお×岩井俊雄 100かいだてのいえとメディアアートの世界」をみるためだ。


展覧会は大盛況の中9月19日に無事終わった。この展示は残念ながら巡回はないそうだ。もったいないなあと思う圧巻な展示群。



いわいとしおさんという絵本作家は、言わずともがな、「100かいだてのいえ」が思い浮かぶ。我が家の子どもたちはもう大きくなっていたが買い求めた。何回も読んでみていて新しい発見がそのたびにあるような絵本だった。日本初の縦開きの絵本。お子さんが「数字の仕組みがわからない」そんな時期に作られたんだという。「これはこういうものだよ」と公式のようにすんなり受け入れる子もいれば、ちゃんと頭の中で理解しないとダメな子もいる。

我が家の息子も恐竜の絵本を見ていて「2億3000年前の昔」というワードがどのぐらいかわからず、いろいろ聞いてきた。恐竜の絵本を見てそのワードで引っかかるとは思っていなかった。図書館に行って色々な文献を見せて説明したら「じいちゃんのじいちゃんが原始人だったんだね。」3歳少し過ぎたぐらいの彼の知っている一番長生きの生物を物差しに考えたのだろう。可愛かったなあ。
早速国立科学博物館に行って「昔」を家族で学んだ。なんでそんな昔のことがわかるのか?次の彼の疑問はそれだった。そんなことの繰り返しだった。楽しかったなあ。息子や娘の成長とともにボクももう一回「その頃」を体験し、楽しむこともできる。そんなことを思い出した。

いわいとしおさんもきっとそんな楽しい時期を過ごされたんだろうなあと思う数々の展示。子どもに見せるものだからこそ、妥協は許されない。嘘は許させない。ちっちゃな虫は何を食べるのか、どう動くのか。100までの数をわかりやすく理解するために作られた絵本だが、そこに登場するてんとう虫も、蛇もダンゴムシだってそこに丁寧に生きている。この1冊の絵本から莫大な知識や感性や愛情を感じることができる。子どもたちに作ったおもちゃの数々だってボクが見ていたってワクワクする。乗れる馬、段ボールで作ったキッチン。一緒に作ったのかなあ、そんなことを考えてお父さんが作っている横で見ている子どものキラキラする目を想像する。



後半は、岩井俊雄さん。こちらも有名すぎるメディアアーティストとしての姿である。最初に展示してある岩井さんが子供の頃に書いた工作ブック。発明したものが書かれている。もちろんそれを作ってみる。1981年にかいたパラパラ漫画が、1988年には立体ゾートロープ(筒を回転させて中にあるオブジェが動いているように見える)につながっている。その間、1985年にはあの、今は東京都写真美術館所蔵の「時間層 II」を作られている。クルクル回る紙の人形が時間を歪めるように回っている。



なんだか、それらの作品の遍歴を見ていると、岩井さんのそれこそ時間軸を見ているようで興味深い。自分という者の中の進化や考えが覗けるようである。子どもの頃の岩井さんがいたからこその今がある。さらに自分の子供たちともう一回子供時代を歩んでみる。
そんな贅沢な歩みを覗ける展覧会だった。



茨城県近代美術館HP
https://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/


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