どんなに一生懸命やろうとしても、うまくいかないとこがあって「ああ、もうここまでか」そう諦めてしまう。体のせいにして諦める。
全く、言ってることととやってることが違うじゃないか。
健常な人と区別をしないで欲しいと思っているはずなのに、自分で線を引いていることとなる。
体は麻痺していて左半身が思うように動かないとか、喋れないとか、時にはついさっきのこととを忘れてしまうとか。色々なことを言い訳にして挑戦もしないで諦めてしまう。
今回の撮影の旅で、2日目は雨の予報。
撮影もできないので近くの合掌村で陶芸教室があるからやってみないか?と誘われた。
岐阜県下呂温泉にある合掌村、飛騨工房だ。
「絵付けもあるらしいからそれなら絶対できるだろうけど…せっかくなら器を作ってみませんか?」「まあ、いいよ、任せる」そう同行の者に伝えた。
そう言ってみたものの電動ロクロとはいえ、左手が動かないのにできるのか?体だって前に倒せるかどうか?不安が過ぎる。
先方も電話口の人は受け付けたものの、車椅子の人が本当にできるのか?
先生に聞いてみますと言って電話を切ったそうだ。
「まあできなければ絵付けだね」そんな話をしていると折り返し電話がかかってきた。「やってみましょうよ」そう先生がおっしゃったとのこと。
車椅子は車椅子でも左手も自由に動かないことまで告げていない。
車椅子で、電動ろくろに近づけないのを懸念しているのだ。それ以上のバリアがあってもできるのかなあ?
いざとなれば付き添いの妻がやればいいから…と土砂降りの中到着。
陶芸家の島田芳博さんに教えていただく。ボクの他に同行の2名。それと名古屋から来たという大学1年生の女子が二人。先生の説明を聞いているだけでも楽しい。
が、実際体をろくろに近づけるため体を前におる、回っている粘土のセンターを探して親指を入れたりさらに麻痺している左手を添えて両手で粘土を広げたり薄くしたり。
いやあ、無理だろうと思う自分と誰にも手伝ってもらわず最後までやってみたいという気持ちと。
「まあやってみましょうよ」と根気強い先生。左手もあまり動かないんです」妻と先生の会話。
「左手が動かないならでつまむように外と中に指を添えればいいだけですから、何度だってやり直せば」ロクロに手が届くように体を前にぐいっと押してくれる妻。
手に土の感触が伝わってくる。ご飯茶碗を制作。
ちょっと思ったより細長い茶碗になってしまったがやり終えた。
できた。こんなささやかなことでもできないだろうなあと思っていることができるとものすごく嬉しい。「おおできた」心の中でニヤッとする。
「やってみましょう」と言ってくれた島田先生と計画してくれた仲間とそれと一緒に授業を受けて拍手して応援してくれた大学生に感謝する。また、一つできることが増えた。
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