「松本隆のことばの力」(藤田久美子インタビュー・編 インターナショナル書籍)が発刊となった。



松本隆さんは有名な作詞家で、ボクたち世代だったら耳にしたことのある曲が一曲や二曲、いや、かなりあるはずだ。

太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」や松田聖子さんの「赤いスイートピー」ジャニーズの近藤真彦さんの「スニーカーぶる~す」やYMOのために描いた「君に、胸キュン」KinKi Kidsの「硝子の少年」寺尾聰さんの「ルビーの指輪」森進一さんの「冬のリビエラ」… 数え上げたらキリがない。

昭和、平成と本当に数多くのメガヒットを生んだ。
ボクはこの本を読んでみて同じ文章を扱うものとして、「ことば」の持つ魔力について改めて思い知った。
この日本という国に生まれて日本語を操って生きてきて「ことば」の大切さを身をもって体験したこともあると思う。

「わかっているはず」そう思って伝えずにいた「ことば」が大切な人を失う結果となってしまったり、あの時の「ことば」の選び方で人生変わったとか、知らず知らず経験していることはある。

言葉を紡ぐ職業をしている人は、それを表現する。あの時の想いや、大切な言葉を綴る。人々の心に刺さる、印象に残る「ことば」を編み出していく。
松本隆さんは、曲に乗せてしかも日本語の「ことば」でそれを表現してきた。
だけど、ハッピーエンド時代の松本隆さんは今すぐに売れなくても後世まで残るものを作りたいと考えたそうだ、それに引き換え松田聖子さんの曲の時は売れるものを作ろうと考えたとのこと。そんなことを考えて作ること自体天才と粋なのだけど、結果 時代が過ぎても両方ともそれらの曲は生きている。

ボクたちや今の世代の人たちにも生きている。普通言葉というのはどんどん時代とともに変化していくものだ。死語なんていう言葉もあるぐらいなんだけど、すごいことだと思う。まだまだ生きている言葉を紡いできたんだから。

人の気持ちは、時代が変わってもそう変わるもんでもないのかも知れない。そんな人間の本質の「ことば」が生きている。

この本で、なるほどと思ったのが、詞は「コツで書かない」ことをモットーとしているってこと。
おしゃれな家具がしつらえてある部屋に入るより、真っ白な何もない部屋に入って一から作った方がいい、と。
自分の中で詩の書き方を体系化することはないそうだ。
コツに頼らないことと、いつも白紙にもどること。そうやってきっと、ボクたちにも新しい気持ちが届いたんだと思う。

この新書の中にはずっしりした内容が詰まっていて、取材も大変だっただろうなあ、なんて思ってしまった。言葉を紡ぐ人のことを描く言葉にもかなり説得力があ
った、良書である。