桜の季節になった。昨年の桜はコロナ騒ぎでいつの間にか過ぎてしまった。

今年もまだ、新型コロナウイルスが収まった訳でもないので、いろいろ考えて行動しなければならない。一緒に暮らしている義母もこの1年でずいぶん足腰が弱った。よる年波ってこともあるんだろうが、コロナが原因で外出しない生活が続いているせいもあるんだろうなと思ってしまう。


満開の桜を近くの公園に見にいくのも躊躇している。一昨年は大山にハイキングに行ってお蕎麦を食べて、花見をしたそうだ。まだまだ動けた。テレビで靖国神社の桜の木が映れば、出身大学に続く桜の道を懐かしそうに話す。綺麗だろうねえ。



それと時を同じくしてボクのVRの先生である登嶋さんが外出できない人たちのためにいろんな場所の桜を撮りためていると聞いた。いつも一緒に活動しているアクティブシニアの皆さんにも呼びかけて各地の桜をVRの映像で撮り溜める。さまざまな施設などにとどけることができる。


ボクの撮った桜も是非使ってほしいと義母のリクエストを織り交ぜて仕事の合間に桜を撮る。
千鳥ヶ淵に靖國神社。東京タワーに日本橋。三溪園。東京を代表する地だ。他のみんなも早朝の人がいない頃を狙って撮影している様子。コロナ対策を兼ねてしかも撮影に人が映り込まないので一石二鳥。これを登嶋さんが編集して4月初めに施設でお見せする。自分の作品がちょっとはお役に立てることも嬉しい。



今日は撮影の移動中にボクの体の話になった。今、どんな状態なんですか?そう聞かれることもしばしばある。要介護5は変わらず。要介護認定5というのは介護状態では一番おもい状態。認定してくれる方が数年に一回我が家にいらっしゃるが、書類に記入する項目を記入していけばやっぱり要介護5となる。半身麻痺しているので左半分は感覚もない。寝返りもできない。立っていることはもちろんできないし、着替えも自力でできない。ベッドから車椅子にも自分では移動できない。全て誰かに手伝ってもらわなければならない。体温調節もできなければ、トイレの感覚もない。嚥下にも問題があって食べられるものにも制限がある。長く車椅子に座っていれば姿勢は崩れるし、喋ることもできない。短期記憶にも問題がある。けれど覚えていられることもたくさんある。たった今のボクは普通のボクだと思っている。今書いていることは今考えていることだ。やったことを忘れてしまうこともあれば、覚えていることもある。

2年ぐらい前からボクは癌という病気に新たになった。そして何回も手術をして「ああ、もうダメかなあ」なんて弱気にもなった。ダメだと思うと一気にからだの状態も落ちる。「もしも命に限りがあるとしたら今自分はどうしたいか?」と真面目に考えるきっかけにもなった。

今までは登嶋さんの活動に賛同してVR映像を撮ったりしていたが(使えるものかは別として)、近い将来自分がもっともっと動けない体になった時に自分が行きたかった地のVR映像を撮りためておくのも悪くないんじゃないかな?そう思うようになったのだ。自分で行きたいところに旅に出てVR映像を撮りためる。動けるうちに行きたいところに行っておこう。そう思って各地に出向いた。そうしてVR映像を撮っていくうちになんとなく元気になっているんじゃないの?って言う気分になってきた。

コロナな世の中になってしまい外出は制限されてしまったが、それでも自分のやる気に連動して元気もついて来ているような気がする。目標を持つことは体にとってこんなにいいことなのだ。よく聞くことだけど本当にそうなのだ。

気の合う人たちと旅を共にする。この後に旅と言ったって歩いて5分の小さな旅だってあるわけだ。将来の自分の為に撮影をする。義母のために桜を撮る。その桜は将来ぼくも見る。あの時の桜だって覚えていられるかなあ。自分だけではできないのは玉に瑕だけど、まだまだ新しいことをやっていきたいと思っている。



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