富岡製糸場にきている。「BUNRAKU -beyond 恋娘紬迷宮」公演を観にきたのだ。人形浄瑠璃×初音ミクさんを堪能する。
この人形浄瑠璃×初音ミクの公演は約1年前鎌倉宮で行われる予定だった。それが、台風で公演は中止となった。それをまたこの3月に東京の劇場でやろうと奮起したのにコロナで断念した。そうやって2回も中止を余儀なくされた。3度目の正直だ。

今回は、群馬県と群馬県戦略的文化芸術的創造事業実行委員会さんが主催することになった。明治、文明開化をテーマに富岡製糸場を舞台にしたその「人情浄瑠璃×初音ミク」の公演がやっとできることになったのだ。
富岡製糸場と言えば世界遺産として有名だがその中庭に舞台はできていた。赤レンガの建物の前にどーんと黒い舞台が鎮座している。舞台の上には伊達娘恋緋鹿子でお馴染みの火の見櫓も見える。始まる前から期待は高まる。


陽が落ちて月が空に上る頃観客がどんどん集まってきた。いよいよ開演だ。
公演は、群馬交響楽団・管弦四重奏から始まった。静かな静かな月夜の富岡製紙場の会場を四重奏の調べが包む。千本桜だ。その音色を聞いただけでニワカ初音ミクファンのボクだってノックアウトだった。心にスーッと入ってきてずっしり刺さった。この空間が正しく恋娘紬迷宮の舞台になっていく。

実はこの公演のディレクターの福岡俊弘さんは昔からの大切な知人である。仕事仲間だった。週刊アスキーの編集長を長年勤めた福岡さんのもと創刊からボクが病で倒れるまで長年連載やら色々な面白いことをやってきた。この人のやってることは昔っからボクの殖子を刺激した。「神足さん面白いものあるんだ」いつも少年のようにこっそり教えてくれた。
倒れた2011年直後「初音ミクさんっていうんだ」とボクの病室にパソコンで見せに来てくれた。退院してからは秋葉原にミクさんのコンサートも見に行った。ボクの誕生日会には初音ミクさんをシータで360度の写真も取ってくれた。この一年の公演中止も毎回「残念だったなあ」と心配した。



それが今こうして最高の形で姿を変え行われようとしている。千本桜を聴きながら感無量になっていく。今までのことがこの日を迎えるためにあったんじゃないかと思うぐらい心に刺さった。これから始まろうとしている舞台の期待が募るオープニングとなった。
ボーカロイドという新しくこの世に生まれたものと文楽という日本の伝統芸能が舞台上で交わって一つのなっていく。文楽だって当時の人間にとっては革新的であったにお違いないし大衆のものであった。それが日本で受け継がれて今となっている。新しい芸能のミクさんとの共演はやっぱりしっかりした伝統の文化があって化学反応を起こしているんだなあという印象を受けた。



終盤になって影絵で人形浄瑠璃の影とミクさんの影が映し出されたが、正しくコラボ。脳裏で想像をかき立てられる。いいシーンであった。お互いの存在を認め時空を超えて一つの点となった瞬間だった。深々と冷えた空気の中何か新しい時代のタイムマシーンで明治大正の混沌とした時代に旅してきた錯覚さえ覚えた。今度また行ける機会があったら今度は元になった話のあらすじでも先に学習していこうと思う。いや、しないほうがいいのかな?その場で感じたままがいいのかもしれない。いい夜だったから。



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