自分のからだがこうなってみて「やってみたい」と心で思っていることと「出来ること」にギャップがあることは当たり前だとどこかで諦めみたいなものが生まれている。

「ああ、どっかに行きたいなあ」そう思っていたって時間(休み)や金銭的な問題とかそういうことを考える前に「ちょっと無理かもなあ」そう諦めたりする自分がいる。
「普通の旅がしたいんだ」そう言い続けているけど普通の旅ができるためには一緒に行ってくれる人たちの多くの理解と努力が必要だ。大体普通の旅ってなんなんだろう。普通の人が平気でボクにできないこと。それをあげてみようと思う。

今回、仕事こみで北海道に8日ほど行った。
まず、宿泊施設ではバリアフリーの部屋を取っても、ボクが風呂に入れない部屋がほとんど(浴槽を跨いでは入れないから)。トイレはバリアフリーの部屋なら車椅子で入れる広さが確保されているのでほとんど大丈夫。だからあとは風呂になるわけだけど、一般の部屋でシャワーが浴槽の外にあるところを探す。シャワーブースが別にあるとか日本風の一般家庭にあるユニットバスみたいなのとか。浴槽の入り口に段差があったり、なかなかバリアフルだけどそのぐらいなら頑張れる。

「せめて2日に1回は風呂に入りたいよね」と思うとホテル選びは真剣だ。値段と場所と、そして写真を見まくる。口コミの写真を見まくる。普通の人は着目しないような写真の隅っこから、段差があるかとか、洗面台の下が空洞になっているかとか(車椅子でも洗面所が使えるか、下が空洞でないと足が入らなくて遠くなり蛇口に手が届かない)目を皿のようにしてみる。
到着してからも介護用シャワーチェアがあるか聞く。なければ代用できる濡れてもいい椅子があるか。以前は大浴場にある普通の丸い浴室用の椅子を借りたり、外に置いてあるテラス用のプラスティックの椅子をお借りしたこともあった。

昔から思っていることに「あそべる車椅子」というコンセプトで、濡れてもいい、移動もできる、泥んこにも強い、ちょっと立つ姿勢もできる、そして車にも積める軽い車椅子があったらなあと思う。



今回はmolten(モルテン)の車椅子をお借りしていった。広島に本社を持つ有名な会社だ。そこがかっこいい車椅子を出したと聞いて調べた。電動付き車椅子。乗るならかっこよくなければいけない。見栄えは重要だ。そしてそれなのに今までの予算より安い。 こんな車椅子をベースにあそべる車椅子作れたらいいのになあと切実に思いました。
そしてこの車いすは軽い。動きやすい。まあ、ただ介助用にできていないのでブレーキが介助者用にないのが残念。介助してもらわないといけないボクには無理かなあ・・・惚れ込んでいるんだけど。ボクの車椅子問題はなかなかうまくいかない。

と、話はちょっと横道に逸れたが、あと移動中の問題はトイレとなるが道の駅にはバリアフリーのトイレはある。けれどベッドまであることはまだ稀であった。新しいところはあったけれど30%ぐらいの確率かな。
ボクみたいに横になっておむつを変えなければいけない人やベビーベッドでは対応できない幼児や障害を持った方々。移動中のトイレ問題で旅を諦めてしまう人も多いと聞く。
今回は車の後ろの座席をベッドにすることを試みた。これなら駐車場に止めればおむつ替えはOK。苦肉の策だけど心の余裕にも繋がった。寝てもいけるし。



景色はバリアフリーとうたっているところでも苦戦したところもあった。北海道の自然を相手にしているだけあってそこはやはりこちらもしっかりしなければいけない。
甘く見ていたらとんでもないことにもなる。いってみてできなくてもいいのだ。それが旅の醍醐味だ。



そして帰りがけに寄った函館の夜景も柵の高さは目の前にはばかり、よくは見えない。あと20センチ柵が低かったら・・・そんなことを思っていたら同行の登嶋さんがおんぶしてくれるという。「いやいや申し訳ない。」「つかまってください」そう声をかけられておんぶしてもらうと混雑していた展望台のそこを、ちょっと皆さんがつめてくれて間を開けてくれている。
50センチぐらい高くなったその登嶋さんの肩越しに見えた夜景は、車椅子で見ていたより倍キラキラ光っていた。周りの皆さんも違って見える。ああ、いい旅だったと涙が出た。できないことも楽しかったことも含めてすべて旅だ。今年の夏も良い旅ができた。