「1月31日(金曜日)公開!!」
知り合いの婦人から一枚のパンフレットを渡された。映画『前田建設ファンタジー営業部』公開のパンフレットだった。
「うちの夫の会社なの」以前「大ダム会議」というイベントにウィーンまでご夫婦で視察にいかれていたなあ。ダムを作っている会社なのっておっしゃっていた。
そんな話から記憶の端を思い起こしてみると、まだボクが元気だった頃その名前の本を読んだ覚えがあるぞ!まだ下の娘が小学校に入学した頃だったか・・・。(幻冬社『前田建設ファンタジー営業部』2004年11月)
更にその10年前ぐらいだったか「おたく」という言葉が話題になった。「おたく」という言葉が独り歩きした。流行語大賞の審査候補にも匹敵するような蔓延の仕方だった。
が、連続幼女殺人事件の犯人の趣味などのイメージが「おたく」という言葉にまとわりつき、もちろん新語・流行語の選出からも外した覚えがある。
それから10年も経とうというのに「おたく」という言葉はまだマイナスなイメージを払拭できないでいた時代に出た本だった。でもそろそろボクの中で「おたく」という言葉はものすごいエネルギーをもったプロの人という違うイメージになりつつあった。
まさにその『前田建設ファンタジー営業部』という本はぞくぞくする「おたく」たちの集まりの話だった。
映画『前田建設ファンタジー営業部』を見れば掘削のプロ、機械のプロに建築のプロ。あの早口の掘削のプロのおたくヤマダの場面は、ほれてしまう。
「パパなんで泣いてるの?」ボクなんて一緒に見ていた妻に驚かれたが、感動すら覚えた。ああ、こんな人いるよな。
現実のボクの周りには「おたく」と呼べる知人が本当に多い。あるひとつのことに没頭する、もしくは追及する。ボクの知恵袋の日立に勤めていた研究者なんて本当に取材でわからないことが出てきたら話を聞きに何回も通った。テレビ局や出版社関係には野球のみにやたら詳しい人や、あることだけに詳しい人なんてざらである。そのたび思いもよらない話が聞けた。仕事に結びついている人ばかりではない。趣味を極めている人もいる。その人たちの話はほんとうにおもしろい。おもしろいと一言で片付けられないほどおもしろい。
「ファンタジー営業部」は直接的にはお金を生み出さない。そこに会社の人間がいかに入れ込んでいくか。しかも作るものはアニメに出てくる「マジンガーZ」の格納庫だ。前田建設のダムの建設のノウハウがあれば可能!いかにいいものをつくれるか前田建設の技術を結集させる。前田建設だけではない。まわりの知識人を結集して真面目に取り組む。そんな姿に感動する。自分だってこういう大人になりたかったし、いまでもそんな自分が身体の中に宿っているのを思い出させてくれる。