年末年始でベトナムのダナンというところにいって来た。ダナンはベトナム中部のビーチリゾートだ。仏領インドシナ時代にはトゥーランと呼ばれていた。最近ではトランプ大統領と安倍首相が会談した美しいリゾート地の映像が目に浮かぶ。妻も海沿いの高級リゾートホテルでエステ三昧の旅を以前して、物価の安さ、あと数年できっと様変わりするであろう開発ラッシュをみて絶対いったほうがいいからとお勧めの場所だった。

ダナンの近くには「フエ」や「ホイアン」といった世界遺産もある。しかもボクにとっては飛行時間が6時間ほどという渡航練習期間にちょうどいい。

そしてなんといっても羽田からベトジェットエア(ベトナムの航空会社)というLCCがダナンまで直行便を就航させた。いままでも成田からベトナムエアラインの直行便はあったものの羽田というのはやはり便利だ。

ボクみたいな車椅子乗りでもLCCで手軽にいけるものなのか?試してみたかった。

飛行機の予約はインターネットで行なった。そのあと電話で車椅子の利用である旨を日本支社に伝える。自分の車椅子はカウンターで預けると伝えそこからは空港の車椅子で飛行機までご案内しますと伝えられる。自力歩行はできないが同行者が手伝って席まで座らせますとこちらから伝える。

LCCなので座席の予約も有料であるがその様子から考えてできるだけ前の席を(一番前に出入り口のドアがある)とりましょうと電話口の女性が提案してくれる。前から4列目。帰りは満席なので9列目になってしまうけど早めに空港にいってとりなおしてみてくださいとのこと。大変わかりやすく説明してくれて「なんかLCCもスムーズじゃない?」という印象。

ほんとにこれでだいじょうぶなのか?と一抹の不安が残るが予約は完了。

当日、LCCのカウンター前は年末の出国ラッシュもあり長蛇の列。地上係員が「車椅子の方はどうぞこちらへ」と上級クラスの(数千円支払い前方の席だったり荷物の料金が含まれていたりさらにはチェックインを優先にしてくれるのもお金を支払えばということらしい)チェックインカウンターに案内してくれる。ありがたい。長蛇の列の曲がりくねった通路は車椅子ではかなりの難易度だ。

しかし、そこからが長かった。やはり「こんなに簡単でいいの?」の嫌な予感は当たってしまった。

「いまからお客様の状態に合わせた環境を整えます」といった感じで日本語が堪能な外国人スタッフは上のもの?と相談をしているのであろう。一回一回どこかに消えては確認して進める。

まずは、機内に車椅子がない(ベトジェットエアだけかもしれないが)ので機内は同行者が席まで移動させなければならない、という大問題。その説明がされていなかった。入り口から座席まではかかえられていくしかない。ホームページにも障害度合い別にかかれているが歩けない方は同行者が手伝って座れる場合に限って少しなら歩けるレベルとみなされて乗れることにはなっている。スタッフも最善を尽くすが乗れないこともあるとかかれている。

そう、最善を尽くしてくれている。こんな事例は少ないんだろう。何人もの方が色々確認してくれている。

さらに座席を一番前にしてくれるという。ドアから座席までは1メートルちょっと。その間は抱えられていくことでずいぶん楽になるはずですからと。

それでもだめなお客様は乗れませんとのこと。ドアから数メートル、地上の車椅子を乗り入れることはどうしても駄目らしい。地上係員が飛行機に乗れないのは学習済みで(でもハワイに行った時、ハワイの地上員係員は飛行機になかまで乗ってきていたけどなあ)、ドアからは乗組員がお手伝いしてくれるようだが、車椅子だけでもどうしても駄目だとのこと。ここは決まりなので入り口のギリギリでとめてもらって座席まで抱えていってもらう。

あ、ちなみに最前列は保安上緊急脱出のお手伝いができない人は座れないので2列目になりました。



席に座ると客室乗務員が丁寧な挨拶となにかあったら遠慮なく言って下さい、と英語でアナウンス。

さらに「車椅子がないのでトイレにいく場合も自力になりますが・・・」とのこと。「はい、わかりました」そう答えるのが早いか深夜便のためあっという間に眠りについた。

到着するとなんとタラップ!どうなることかと思えば反対側の下にドアにトラックが止まりそれはあがってきてエレベーターのように車椅子ごと地上に降ろしてくれる。もちろんドアまでは抱えられていったのだが・・・地上員係員がターンテーブルの自分の車椅子まで案内してくれた。スムーズ。



帰りも日本でこうしたということは伝えておくけれど、チェックインのときまた話してくださいとのこと。
帰りもまたまたカウンターでのやりとりはあったものの同じパターンで今回は満席のため前から6席目。

今回の教訓。ボクのように歩行できない人間は抱きかかえてくれる同行者がいないかぎり不可能に近い。が、それでも大丈夫ならば、トイレ問題がクリアになれば格安にいける。ちょっと苦労するがいけないことはない。

それよりもなによりも地上の車椅子が数メートル旅客機内に入ってもいいように、法律だかなんだかを早急に改正してもらいたい。安全面とか治外法権の問題なのだろうけど、それだけクリアになれば格安の飛行機で旅ができる人が増える。やすい飛行機だから車椅子を置くスペースも重さもないということらしいから、ぜひ乗り降りのときの地上車椅子利用をお許しいただきたいと思った。

自由の選択肢が一つ増える。


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