ことしの大雨シーズンから大雨警報などの
気象情報が大きく変わったのをご存知でしょうか。
警報の発表はみなさんの日ごろの行動を
大きく左右する情報だと思いますが、
きょうは何が変わったのか、
また警報とどう向き合うかについて
考えてみたいと思います。
今回、大きく変わったのは
・よりわかりやすく表示する(5月~)
・警報を出すかどうかの判断基準(今月4日~)
の2点です。
背景には毎年のように全国で繰り返される
大雨による災害で、自治体の対応などで
「気象情報がうまく活かされていない」といった
指摘が繰り返されていることなどがあります。
まず一つ目が5月から実施された
「よりわかりやすい発表」についてです。
これまで気象庁は警報を発表する際、
文章の形式で発表していました。
それが3時間ごとの時系列に分けて
それぞれの時間帯の危険度を
・注意報→黄色
・警報→赤色
で図の形で発表するようになりました。
また、予想雨量や風の強さなども
一緒に示すようになり、
パッと見てわかりやすいように
改善しています。
また、あわせて将来的に
警報を発表する可能性があるかどうかも
発表するようになりました。
発表時点では注意報基準でも
数時間後にさらに荒天となり
警報へ切り替える可能性が高い時は
黄色に斜線が入った形で示します。
さらに5日先まで警報が出る可能性について
「高」「中」の2段階で
発表するようにもなりました。
今回の九州北部や島根・広島県北部のような
局地的な豪雨については、
数日前の段階から警報を出すことは
なかなか困難だと思いますが、
台風や強い冬型に伴う大雪などのような
数日前からある程度予想がつきやすい
気象現象に対しては有効となりそうです。
これにより旅行や仕事の予定を
変更したりといった対応が
しやすくなるかもしれません。
そして大きく変わった2つ目が
今月4日から変わった
「警報を出すか判断する基準」です。
大雨に伴う災害には
大きく分けると3つの種類がありますが
それぞれに対して
・大雨警報(土砂災害)
・大雨警報(浸水害)
・洪水警報
で警戒が呼びかけられますが、
ザックリといえば
これまで警報を出すかどうかについて
降る雨の量(雨量)をベースに判断していたのを、
それぞれの災害が起こる危険度を示す
バロメーターを導入してその値をもとに
判断するようになりました。
これは例えば山沿いと都市部では
同じ雨量の激しい雨が降ったとしても
土砂災害に対して危険なのか
浸水に対して危険なのか
その土地の特性によって災害の危険度が
異なることに対応しようというモノです。
今回導入された新たなバロメーターは
地域をメッシュ状にして、
そのメッシュごとに
土地の性質に応じて危険度を算出。
その値をもとに警報を出すかどうか判断します。
これによりその土地の特性に応じた
きめ細かな警報を出すことが可能になった
ということです。
この新たな判断基準による警報の発表は
今月4日午後から始まりましたが、
それがさっそく活躍したのが
5日未明の広島県北部や島根西部の
記録的な大雨です。
ではこの大雨を例に具体的な内容を見ていきます。
こちらは土砂災害の危険度を示す
「土砂災害警戒メッシュ情報」です。
降った雨のが土壌の中に浸み込み
どれだけたまり地盤が緩んでいるかの目安です。
5キロメッシュで表示され
危険の度合いに応じて
黄⇒赤⇒紫⇒濃紫と変化しています。
ここで一つ覚えていてほしいのは
気象庁が発表する情報は
土砂災害に限らず
最も危険度が高い情報は紫色で示されます。
(特別警報も紫色で表示されます)
この土砂災害警戒メッシュ情報は
すでに前から運用されていて、
3年前に広島市で起きた
8・20豪雨災害の時も示されていました。
続く浸水と洪水に関しては
今回から新たに発表されるようになった情報です。
浸水についての危険度は
「大雨警報(浸水害)危険度」で示されます。
道路の冠水や建物の地下の浸水、
低い土地の浸水といった危険度を
1キロメッシュの細かさで表示します。
河川の氾濫など洪水の危険度を示すのが
「洪水警報の危険度分布」です。
これまで大きな河川については
都道府県と気象庁が共同で発表する
洪水予報という情報がありましたが、
中小の河川も含めて洪水の危険度を
見ることができるようになりました。
上流で危険度が上昇した場合に
備えの参考になるなど
役立つ情報になると期待されています。
特に局地的な豪雨では災害の危険度は
短時間のうちに刻々と変わっていきます。
急速に変化する状況の一つの目安として
知らないよりは知っていた方が
有効な情報だと思います。
高解像度ナウキャスト
土砂災害警戒判定メッシュ情報
大雨警報(浸水害)の危険度分布
洪水警報の危険度分布
一方でしっかり認識する必要があるのは、
今回の広島県北部や九州北部で起きたような
局地的な豪雨については
現在の予報技術で事前予測は困難ということです。
せいぜいわかるのは直前か
実際に大雨が降り始めてからです。
そしていつまで続くかについても
正確に予想することはまだできていません。
警報の発表の仕方や判断基準が変わっても
その情報によりすべての災害を防ぐことはできません。
気象情報をこまめに確認することも大事ですが
それに加えて大事なのは、
普段から自分が要る場所で
どんな危険があるかを知っていることです。
・土砂災害の起こりやすいか
・どんな浸水被害が予想されるか
・川が氾濫した場合にどうなるか など
こうした情報は国や自治体から
浸水想定やハザードマップなど
様々な形で発信されています。
例えば、去年からことしにかけて
国が大きな河川について発表した
想定される最大の大雨による洪水の
浸水被害想定などは
1000年に一度以下程度の頻度の災害で
発表された被害の値もにわかには信じがたい
数字だったりもします。
ただ今回の九州北部の尋常でない雨の降り方をみると
これらの数字をよりリアルに感じた方も
いるかもしれません。
被害想定の数字そのもの以上に大事なのは
その数字をもとにどんなことが起こるのか
イメージできるかだと思います。
それが何かあった際、
自分の身を守る最大の武器になるからです。
局地的な豪雨など急速に事態が変化する災害では
自治体の情報など待っていては
手遅れになるケースがほとんどです。
今回、九州北部で起きている災害を
決して他人ごととは思わずに
もう一度、身の回りの危険性を知るための
きっかけにしてもらえたらと思います。
土砂災害の危険か所(土砂災害ポータルひろしま)
ハザードマップ、洪水被害想定など(国土交通省ハザードマップポータルサイト)
