岩永 哲


先週金曜の大雨で、全国初となる
「大雨警戒レベル4」の避難勧告が
発令された広島県。
ただ土砂災害警戒情報(レベル4相当)が出た市町の
すべてで避難勧告が出たわけではありません。

RCCニュース:全国初「レベル4」市町の対応は
 ※リンク先は6/17まで視聴可能



今回、土砂災害警戒情報が発表されたのは
広島市、廿日市市、大竹市、安芸太田町の
4つの市町でしたが、
避難勧告を出したのは広島市のみでした。
(海田町や坂町、熊野町もこの日は
 避難勧告を出していますが、
 土砂災害警戒情報の基準に達する前に
 早めの勧告を出した形です)



きょう、広島県の湯崎知事は会見で、
国や県のガイドラインが
「土砂災害警戒情報の発表=避難勧告」
であることを踏まえて、
「ガイドラインに沿った避難情報の発令が
必ずしも行ってない市町もあった」と述べて、
今後、適切に市町が一緒に取り組んでいく…
というような発言をしていました。


ではなぜ土砂災害警戒情報が出たものの
避難勧告についての判断が分かれたのか…。
当該市町に理由をたずねました。

避難勧告を出した広島市は、
土砂災害メッシュの危険度が基準に達したら
機械的に避難勧告を出す形をとっています。

一方で、避難勧告を出さなかった
廿日市市や大竹市は、
土砂災害メッシュの危険度に加えて、
もう一つ「実効雨量」を避難勧告を発表する
判断の材料としています。
今回は実効雨量が基準に達しなかったため
「総合的に判断」して
避難勧告を出していません。
(レベル3は発表)



同じく避難勧告を出さなかった安芸太田町。
実は避難勧告(レベル4)だけでなく、
避難準備(レベル3)も出しませんでした。

今回の雨で安芸太田町には、
大雨注意報すら出ていない状況から、
6:53に大雨警報が発表され、
17分後の7:10には土砂災害警戒情報が
発表されています。
これを受けて町の災害対策本部が
立ち上がったのは7:30。
ただ、その時点ですでに雨が止み、
予報でも雨の降り方のピークが過ぎて
回復傾向だったため、
対策本部内での判断で
避難情報の発令を見送っています。



去年の西日本豪雨の結果を踏まえると
知事の言うこともわからなくはないですが、
個人的には市町それぞれが
個別の判断で見送ったことを
批判する気持ちはありません。
レベル化といっても
新たな判断基準ができたわけではないので、
レベル化云々に関係なく
個別の状況をどう判断するか
求められていることに変わりはありません。



まだレベル化の運用は始まったばかりですが、
住民側にレベル化が浸透していない中で
情報を出す苦悩みたいなものはうかがえました。
まだ現場も手探り感が大きそうです。

今後、県や市町の間で
考え方の整理などは進んでいくでしょうが、
それとは別に情報を受ける住民側も
市町の避難情報だけでなく、
ほかの情報も加味しながらどう行動すればいいのかを
きちんと考えることも大事だと思います。


過去ブログ:全国初の「警戒レベル4」で…(6/7)




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