岩永 哲


みなさんは「避難情報のレベル化」について
聞いたことがあるでしょうか。
災害時に市町村が出す
「避難勧告」や「避難指示」などの避難情報について
国は、ことしの大雨シーズンから、
災害時に住民が取るべき行動を
5段階の警戒レベル」に分けて
発信する方針を示しています。
きょうは、中国地方の市町村を対象にした
説明会を広島市内で開催しました。



今回のレベル化の背景にあるのが、
「防災情報」と「避難行動」を
いかに結びつけるかという問題です。
広島県内でも災害発生の数日前から
様々な情報が出されていましたが、
必ずしも住民の避難行動につながりませんでした。

この問題は、西日本豪雨以前から、
大雨災害が起こるたびに課題とされてきましたが、
去年の豪雨で甚大な被害が出たことで
大きく議論が加速した感があります。

今回のレベル化の最大の狙いは、
いかにわかりやすく情報を伝えるかにあります。
土砂災害や洪水の危険度に応じて、
住民が取るべき行動を「5段階」で表し、
実際の避難行動につなげようというものです。



住宅団地を土石流が襲い
12人が犠牲となった熊野町…。
町が避難勧告を出したのは
土石流が発生する1時間前、
避難指示が出されたのはわずか20分前でした。
雨量や雨雲の動き、警報や川の水位データ、
土砂災害や洪水の危険度分布…。
大雨の際に出される膨大な情報を、
瞬時に判断することに限界を感じる自治体も
少なくありません。




災害情報学が専門で
静岡大学防災総合センターの牛山素行教授も
災害に関する情報の多さが、逆に状況を
わかにくくしている側面もあると指摘します。





今回のレベル化では、レベル3以上になると
実際に避難行動を求める形となります。
市町村が発令する「避難勧告」や「避難指示」は
同じレベル4に含まれ、
この段階では危険なエリアにいる人は
速やかに避難行動をとる段階としています。






また、レベル5は
「災害の発生」を伝える情報とされ、
その前のレベル4の段階で
すでに避難を済ませる必要があるとしています。




熊野町では、災害が発生した翌月から、
住民に避難を呼びかける方法として、
レベル1から5の形で伝えることを、
独自に検討していました。
今回、国も「避難情報のレベル化」を示したことで、
より現実的に運用する方針を
固めることができたと話します。



住民が取るべき行動を
5段階で示す避難情報のレベル化ですが、
あわせて防災気象情報や河川の情報など
避難情報以外の情報についても、
どの警戒レベルに当たるかを
警戒レベル相当情報として示されています。
実質的には、今後はこれらの情報も含めて
「レベルいくつ」といった形で
情報が発信されていくのだろうと思います。

では具体的な例として、
去年の西日本豪雨の際に
広島県内の土砂災害の危険度を示す
「土砂災害警戒メッシュ情報」と
警戒レベルの関係を見てみます。



広島県内で土砂災害が頻発したのは
7月6日の夜のはじめ以降でしたが、
午後2時前の段階では
県内は広く警戒を示す赤色が広がっています。
これは警戒レベル3相当で、
避難の準備を始めたり
危険な所に住む人は避難する段階です。

また一部では土砂災害の危険度が非常に高い
薄い紫色のエリアもみられます。
こうなると警戒レベル4に相当し、
状況によって速やかに避難行動を取るべき段階です。



午後4時になると警戒レベル4に相当する
薄い紫色のエリアが拡大。
さらに極めて危険な濃い紫色も表れました。
災害が発生するおそれが極めて高い状況で
緊急の避難行動を求める段階です。



そして午後6時の段階では広島県の南西部には
土砂災害の危険度が極めて高い
濃い紫色のエリアが広範囲に及んでいます。
ここまで来るとレベル4相当の深刻度が増大し
この時点では危険なエリアにいる人は
避難を済ませている必要があるとされる段階です。

今回の避難情報などのガイドライン改定では、
前提として強調されていることがあります。
それが様々な情報の警戒レベルを明確することで、
住民自らが主体的に
避難行動をすることを求める点です。
自治体から避難勧告や避難指示などが
出ていなかったとしても、
こうした情報から住民自ら
今がどんな状況かを判断し、
どんな行動をとるべきか
直感的にわかってもらうのが狙いといえます。

この「避難」とは、決して避難所に行くことが
避難行動ではありません。その場所に応じて
様々な避難行動の形があります。
今一度、大雨シーズンを前に
自分の住む地域の危険性を確認するとともに
避難情報のレベル化について
知ってもらえればと思います。


<リンク先>
内閣府:避難勧告等に関するガイドライン(平成31年3月)改定版の公表について
静岡大・牛山素行教授:避難勧告等に関するガイドラインに関する私見
気象庁HP:危険度分布



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