POST:岩永 哲


去年7月、九州北部豪雨の被災地を
土砂災害の専門家とともに取材しました。
そこで指摘があったのは、同様の災害は
広島でも起こりうる可能性が十分にあり、
未曽有の豪雨となった九州北部豪雨は
決して他人ごとではない…ということでした。

RCCお天気ブログ:未曽有の豪雨は決して他人ごとではなく(2017年7月6日)
RCCお天気ブログ九州北部豪雨と中国地方の共通点(2017年7月14日)

それから1年後、実際に広島で
その指摘が現実のものになるとは
正直、思っていませんでした。

今回、広島では歴史的な豪雨災害となりましたが
広島にとってはまさに未曽有の豪雨でした。



前提として広島では崩れやすい地質や
平地が少なく山際にまで多くの住宅が立ち並ぶといった
背景がありますが、
今回の雨の降り方に注目すると、
雨量そのものが記録的だったこと、
さらに雨が降り続いた後半に
2度の非常に激しい降り方のピークが来たことが
これだけ県内の広範囲に被害が拡大した
背景の一つかもしれません。



7月5~7日の72時間雨量をみると
県内の全域で記録的な雨量となったことがわかります。
広範囲で400ミリを超え、
場所によっては600ミリに迫りました。
観測史上最大の雨量を記録したと所も多く
それは広島県内だけに限らず
岡山や愛媛をはじめ瀬戸内周辺の地域に
広く分布しています。





西日本付近には7月3日ころに台風が接近、
その後、梅雨前線が同じような位置に
ずっと停滞する状況が続いていました。
こうした同じような気圧配置が続いたことで
雨が断続的に降り続きましたが、
雨の原料となる水蒸気の流れをみると
その様子がよくわかります。



梅雨前線が停滞していた7月5~8日は
気圧配置や上空の偏西風の流れのバランスから
暖かく湿った空気の流れ込みが
西日本に集まる形になり、
そこには非常に大量の水蒸気が流れ込み続けました。

この水蒸気の流れ込みが
記録的に多かったと指摘されています。
なぜそんな大量の水蒸気が供給され続けたかは
今後、研究が進められると思いますが、
その結果として西日本で大雨が続いたとみられます。

さらに、雨が続いた後半に
2度の非常に激しい降り方をしたことが
甚大な被害をもたらす引き金となった
可能性があります。




こちらは呉市警固屋に設置された雨量計の
3日間の雨量変化です。

5日未明から本降りの雨が降り続け、
5日0時~6日15時までに
すでに200ミリ近い大雨となっていました。
この時点で地盤はすでの
相当緩んで危険な状態になっていたとみられます。

そこへ6日夕方と7日早朝の2度、
非常に激しい雨のピークが襲いました。
1時間の最大雨量は60~80ミリ
6日夕方から7日朝までの半日ほどで
350ミリを超える記録的な雨量です。

今回、県内で大きな被害が出たエリアの多くは
このような降り方をしています。




当時の天気図をみると6日夕方の1度目のピークは
東シナ海方面からの暖かく湿った空気と
豊後水道方面から流れ込んできた
暖かく湿った空気が合流し、
さらに上空の風との兼ね合いで発達した雨雲の帯が
九州~中国~近畿地方へ延びていました。
上空の気圧の谷との兼ね合いで
夕方に流れ込みが強まったため特に雨雲が発達、
九州北部と中国地方に特別警報が発表されました。



一方、二度目のピークとなった7日朝は
上空の風の流れがやや変わっていたとみられます。
上空の風の蛇行が強まり
暖かく湿った空気は南海上からの流れ込みがメインに。
広島周辺には豊後水道を通って流れ込み
さらに前線北側の上空に寒気が入っていたために
雨雲が再び非常に発達したのかもしれません。

今回の豪雨に関するニュースの解説では、
発達した雨雲について線状降水帯として
説明するケースもありますが、
個人的にはもう少し大きなバランスの関係で
発達した雨雲ではないかとも思っています。