小松政夫さんの「うつつ~小松政夫の大生前葬~」という舞台を見た。

もう40年来の友人の白崎博史が脚本だというのでどうしても見たかった。

小松政夫さんといえばボクの子どものころは往年の映画評論家の淀川長治の物まねもよくされていた。それが小松さんを認識した初のギャグだったと記憶している。

その物まねのほうを真似る時代だった。

本物が、小松政夫さんのすごかったのを真似るというなんともややこしい話だが「まあ、すごかったですね、小松政夫。それではみなさん、またお会いしましょう。さよなら、さよなら、さよなら」。

意味も無くみんなが「さよなら、さよなら、さよなら」といっていた。

ボクはちょっとませた子どもだったので、石原裕次郎さんや植木等さんの映画が大好きだった。街の古本屋のお兄さんと契約を結んでいて「裕司は店の本読み放題」とありがたい環境にいたので小松さんが植木さんの運転手だったこと、そこで学んだことを知って俄然小松政夫さんという人に興味を覚えたのを思い出す。

植木等さんが大好きだったボクは小松政夫さんがとても気になった。「およびでない?これまた失礼」という植木さんのギャグも小松さんがつくったとどこかで読んで「すごいなあ」とどんどん尊敬に似た気持ちでテレビを見ていた。子どもの癖に。

ボクはコメディアン自体に興味があるというよりは、当時からものすごくメモ魔で「ことば」に興味があった。おもしろいギャグをたくさんメモしていた。

そして今回友人の白崎博史が小松政夫さんをかいたというではないか。それはダブルで見にいかねばならない。白崎の言葉の編と小松さんの口から発せられる言葉の両方が見られる。なんと贅沢なことか。小松さんとはもう30年前ぐらいにフジテレビでお会いしたことがあった。生の小松さんはそれ以来だ。

お芝居は認知症の入り口にいる小松政夫が記憶回復センターというずいぶんあやしい施設に入所することから始まる。お芝居のせりふを忘れてしまい自信をなくしている小松さんを入所させる後妻。財産のありかを知るためか本当にもう一回舞台に立ってほしいのか。ボクにはその妻にも愛を感じる。コメディアン小松政夫と結婚したんだもん。からだを患っている自分と重ね合わせての希望的観測だったのかもしれないが、せつない。舞台の最後のほうに小松さんが白い燕尾服を着て踊るシーンがあるが「これぞエンターテーメント」。

涙があふれた。その姿に涙したのだ。

小松さんの半生をつづったフィクションかノンフィクションか定かでない部分ももちろんあるが、そういえば子どものころに読んだ「コメディアンにいい人はいない」という言葉を思い出した。たくさんの人間模様を経験し泣きも怒りも経験して笑いが生まれる。選ばれた人しか本物になれないんだなあと当たり前のことだが改めて思う。

「うつつ~小松政夫の大生前葬~」公式サイト https://www.utsutsu.info/



作家・脚本家の白崎博史(しらさき・ひろし)さんと


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