相澤直人さんという作曲家がいる。特に合唱にエネルギーを注いでおられる。東京藝大の作曲科と指揮科で学ばれた。在学中から「あい混声合唱団」を立ち上げて音楽監督にも就任され、今では10以上の団体で音楽監督、常任指揮を務めておられる。作曲家としても活躍中であるという。



その相澤直人さんの「あい混声合唱団」の第10回定期演奏会があった。

妻は入院中のボクの病室に帰ってくるなり「パパ、あの音楽の人だった!!」と大興奮気味。

TBS系のドラマ「表参道高校合唱部」の中で使われた「ぜんぶ」という曲が「いい曲ね、CDないのかな?」と我が家で話題だったのだ。
その後、それがさくらももこさんの作詞と知って益々音源がないか探した。

入退院を繰り返していたボクやそれを支える家族にとって、音楽というのは時にして体の芯までしみてくる。癒やされるだけではない。時には突き刺さってくる。気がついていなかった心の中をむき出しにする。そんな曲だった。

合唱というのは言葉を伴うことも多く、数秒で脳裏をよぎり心まで届く。寝たきりのボクにとって音楽という芸術は一番身近な心のリセット道具でもあり驚異でもある。

相澤直人さんは、その「ぜんぶ」の作曲者だったのだ。

その偶然に妻が驚くのも無理はない。ボクがベッドの上でつぶやいた「あの曲をもう一回」を彼女なりに探してくれていたからだ。知り合いを通じて出向いた音楽会で、探していた曲の作曲家を目の当たりにした。びっくりするのも当然だ。

娘や息子の中学校でも合唱には力を入れていた。コンクールには出ていなかったがクラス対抗で、みなとみらいのホールでおこなわれる発表会にむけて、担任の先生とクラスの生徒が一丸となり猛特訓がおこなわれていた。毎年聞きにいっていたがそのハーモニーの美しさや、子どもたちの一生懸命だったであろう過程を想像するだけで涙が出た。全く違うものではあるが、それとそのドラマは重なっても見えていたのかもしれない。

そして、さくらももこさんとは何度かご一緒し、自分とはまったく違う世界観の表現者として不思議な感覚を覚えていた。自然でふわっとしていて、でも違う場所にしっかり根っこが張っているんだろうなあと感じたことを思い出した。あのさくらさんの世界観が音に乗って心に入って来る音楽だった。

今回、さくらももこさんの追悼と感謝の意をこめて作曲されたという小曲「自分のほんとう」を聞いて妻は涙がとまらなかったそうです。実際に伺えなかったことが残念でなりません。

YouTubeのなかの相澤直人さんしか知らないボクですが、近い将来、生の歌声で「ぜんぶ」「自分のほんとう」を聞いてみたいと切に願います。



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